あとがき(Dorothy Little Happy「STARTING OVER」を読む)

あとがき

 

これらがこのアルバムから自分が感じ取ったひとつの物語だ。だいぶ脚色しているところもあるけれど、「なんとなく」物語の流れを感じるこのアルバムに対して自分なりに辻褄を合わせてみた。もちろん、全てに辻褄が合っているわけではないけど、複数の作家の提供曲で構成されたポップミュージックのアルバムだからこそ、「なんとなく」の流れが面白いのだと思う。

アルバムの複数の曲の歌詞に、共通の言葉や、同じような意味だと考えられる言葉が登場する。坂本サトル氏とtaraco氏によって曲が提供されたドロシーのデビューから、歌詞の中に物語が存在するスタイルは受け継がれている。ドロシーの5人から引き出された言葉が。

 

こじつけに過ぎないが、このアルバムの主人公はドロシー自身で、「君」「あなた」に当たるのはドロシーの夢であると捉えることもできる。その夢とは、ドロシーリトルハッピーとしてずっと生きることなのではないか。夢の先を掴もうとして、見えなくなってしまった幾つかの時期を経て、今、強く望んだ思いを確認し、時間がかかろうとも、ドロシーリトルハッピーとして歩もうとしているのではないだろうか。STARTING OVERの物語は、メジャーデビューからのこの3年間、ドロシー歩んできた物語として見ても面白いかもしれない。

 

そんな風に今回はアルバムの物語性、言語性についてまとめてみたけれど、ドロシーにはそのステージを目の当たりにして、言語化できないような感動に浸ってしまう、そんな夜があるのも大きな魅力である。その点、ツアー、さらにツアーの先でこれからどんなシーンが見られるのか興味深い。


さぁ彼女たちが次に向かう先は?

STARTING OVERというアルバムから彼女たちがどこへ向かうのか、見届けられるって素敵だし、更なる作品を届けてくれるように、しっかりと見ていかなきゃいけないなと思う。