備忘録とこれから:ドロシーリトルハッピー@TSUTAYA O-EAST

ツアーファイナルはドロシーを見に来たフロアいっぱいのオーディエンスを持って高い熱量を持って締めくくられ、終演後のライブ自体の評判も非常に高かったのではないかと思う。自分は入場前に緊張しながらやることがなくスカしぎみにエイジアでやっていたポストロックのバンド(envyみたいなやつ)のライブの音漏れを聴いていて会場10分くらいしてそろそろかなと思って入口に近づいたときには自分の整理番号より200番以上の呼び出しが終わっていた。やっぱりさらけ出す場に向かおうとしてるのに、カッコつけてはいけないんだと軽く凹みながら入場し、後方でいつもより少しだけ冷静になって見ていたような感じだった。


ライブの感想はいろんな方が伝えているから、割愛するけれど、パフォーマンス面で彼女たちの持っているものをしっかりと出して、ツアーの締めくくりとして、「ドロシーリトルハッピー」をシーンに示せたのではないかと思う。前日少し不安だったメンバーのコンディションの問題も杞憂だったし、会場の広さを全く感じさせなかったし、自分が見てきたドロシーのライブの中で大事な思い出となるいいライブだった。

 

そして、一点気になったことだけ書こう。ツアーを数カ所回ってきた人はやっぱり考えると思うのだけれども、アルバム曲を中心とした基本的なキーになる曲の間の曲をライブの流れに即して入れ替えてきたSTARTING OVERツアーのセトリに対し、このツアーファイナルだけは構成が異なっていた。中盤のポイントだったSTARTING OVERを本編ラストへ移動。同じくツアーの中盤に披露されアルバムを締めくくる曲だった「明日は晴れるよ」は渋谷のセトリに入らなかった。代わりに第2章のHAPPY DAYS!never stop again,「ナミダよりもずっと速く」の3曲が中盤を構成した。ツアーで本編ラストに歌われていたいわゆる “ドロシーの世界観を提示する(しやすい)曲” である「永遠になれ」をなくし、ツアーの締めくくりとしてSTARTING OVER一本で魅せよう、勝負しようというのは意気込みを感じて、支持できる。しかし、ライブツアーで「明日は晴れるよ」をなくしてしまうのはどうなのか。


僕はドロシーのさりげなく一筋のコンセプトが通っているところが好きだ。それはもうドロシーと出会ってデモサヨナラというアルバムを聴いたときからずっと。楽曲的に好みとは違う方向のときでも、彼女たちが“ドロシーらしさ”について迷ったりしていた時も、ずっとドロシーのやってることや伝えようとしてることには一本筋が通っていていつ何時も間違っていることはなかったと思っている。それって多分、大人の判断とドロシーの意見の間でいいバランスが取られてきたからだと思う。


ただ、今回はツアーのファイナルとしての意義と、2年前のO-EASTから動員のステップアップができなかった過去を経て、再びO-EASTに帰ってきたという意義についての2方向の想いが込められたライブになった。(O-EASTのリベンジというのはO-EASTのライブへのリベンジではない、ハッピーダンスの力も借りた素晴らしいライブだったもの。)


再びたどり着いたO-EASTでツアーでやってきたようにアルバムの世界を表現したら、どんなにカッコよかったかと思う。それが、アルバムのリリイベの8曲披露から続いてきたドロシーの横綱相撲だったと思う。それでも、ドロシーはわざわざ過去にこだわったセットリストを組んだ。ツアーの統一性、美しい終わり方と引き換えにしても。8月に出る一般流通商品としては初めての映像作品に収録されるライブでもあり、作品に収録する意味合いでの曲の選択っていう要素もあるから、セトリが誰の意思で、どんなパワーバランスで組まれているかなんてわからないけれど、自分みたいな人間が喜ぶ些細なコンセプトの浸透よりも、多少強引に過去を乗り越えるという物語を作る「わかりやすさ」を「選んだ」のだと思う。

しかしそれによって、DVDを見ながらここで「HAPPY DAYS!」をやる意味合いはこうなんだと、なんて言える可能性が産まれた。それも苦労した人たちにしか与えられないエンターテイメントだ。


そのような分かり易い歴史の提示は、きっとこれからドロシーがもっともっと多くの人に音楽を伝えるために大切なことなかもしれない。


過去を乗り越えること、変化を恐れないこと。それも、STARTING OVERだ。あ、一筋のコンセプト、繋がったかも笑

大きくなるために、変わらなければならない部分もあるだろうけれど、ドロシーの5人なら、、って本気で思う。


今回はちゃんとZEPP DIVER CITYというその次のステージも用意されている。O-EASTっていうひとつのこだわりをドロシーは超えて、この2年間想像できなかった、新しい地平へ。


僕は香港にいったとき、それが「ドロシーと知らない場所へ行く」ということだと思ったけど、海外でなくてもこれから、ドロシーの歩む道に知らない場所が待っている。


さて、新曲を楽しみにして、(新曲が聴きたくてたまらない)次のステージへ。光を見て、曇り空を感じながらも、ここまで来た。

ドロシーは面白いグループですよ。