婚活は命がけ!?「ウェディングベルを鳴らせ!」

シネマライズエミール・クストリッツァの新作「ウェディング・ベルを鳴らせ!」を鑑賞。



クストリッツァの映画は、どれも音楽とサッカーと人間(と動物)への愛に溢れている。

ぜひぜひみんなに見てほしい素晴らしい作品でした。

農村で祖父と暮らす主人公のツァーネが、都会に出て嫁さんを探すという、高齢化の進む現代日本の農村人口問題にも通ずるお話なのですが(笑)あいかわらずどの登場人物たちも魅力的で、個人的に爆笑の嵐でした。

ツァーネは一目ぼれしたヤスナを嫁さんにもらうため、全くひるむことなく、むしろノーテンキに悪の連中と戦うのですが、月9の「婚カツ」において視聴率で苦戦している中居君にも見習ってほしいものです。

ちなみにヤスナがあまりに魅力的なので、木村庄之助のごとく、劇中ついつい上戸彩と比べてヤスナに軍配を上げてしまいました。…上戸、ごめんよ。


登場人物が生き生きしてるので、一度映画にのめりこめば信頼感の中で安心して笑える映画です。

この笑い、間違ってないよと。

まさか、近年では「めちゃイケ」か「ロンハー」という余裕のある長寿番組でしか見ることのできなくなったバラエティの古典的手法「落とし穴」であんなに笑いを生むことができるとは…


しかし、これはただのコメディ映画ではなく、要所要所にハッと思わせる場面が出てきたりします。


結婚式の列と葬式の列が一本道で出くわすシーンは、まさに幸せと死を描いて来たクストリッツァならでは。

結婚式における祝祭の喜びと葬式における死別の悲しみ。

劇中にも「葬列に道を譲る決まりがある」という台詞が交わされるように、人の営みの中で、死は真摯に捉えられ最も大切にされるものである。

しかし、喜びも悲しみも、ものすごい色濃い形で登場する彼の映画の中では、どちらも人生の一場面として対等に同居する。

大きな出会いも大きな別れもひっくるめて人生なんですね。

ま、そんなことを感じても次の瞬間には狙撃が始まってカオス状態になってしまうのがクストリッツァならではで、戦争をストレスなく、演出の力だけでコミカルに描いてしまうのはさすがです。

ちなみに、少し期待値を下げるのではないかと思われた邦題ですが、これは物語とマッチしたよい邦題であると思います。