1Q84

村上春樹の新作、「1Q84
にくいタイトルだ。

ジョージ・オーウェルの「1984」を想像せずにはいられないし、Qは魯迅の「阿Q正伝」のQなのかなあ、ってあれこれ考えてしまう!仮にその辺の作品を知らない人でも、QestionのQが入っているから何か謎めいている感じを受けるだろう。本の装丁もQがデカデカとのってるしね。まったく商売がうまいぜ。



オーウェルの「1984」はまさに西暦1984年、ビッグブラザーというコンピューターに監視されてしまった近未来世界のお話で、物語の世界自体が現代社会への警鐘となっているので、(うろ覚えなので間違っていたらごめんなさい)今回のハルキ・ムラカミの新作もそんな「世界の終わりと〜」的なSFっぽい物語なのかなと勘ぐられる。



「1Q84」というタイトルだけでなく、最近の中編小説「アフターダーク」に出てくるラブホの名前が「アルファヴィル」(マザーコンピューターによる管理社会を舞台にしたハードボイルドなゴダール映画)だったこと、物語内でこの映画の言及がなされることなどから、やはりここのところの春樹氏の関心はその辺にあるのかなと。というか、アフターダーク自体、移動する視点から語られていて、既に監視する小説なわけですが。



昔、世界史の先生に勧められて図書館で「1984」を借りたことがあります。市立図書館の書庫に眠っていた、それはもうぼろぼろの文庫本で、すごく読みにくかったことを覚えています。多分、それと同じ頃に国語の授業で村上春樹の「レキシントンの幽霊」を読んで、初めてハルキムラカミの謎解きワールドを体感した覚えがあります。隣のクラスの国語の教師は違った解釈をしているし、こんな幽霊の踊る小説を高校生に読ませて、テストでどうすんの!?って思っていました。自分にとってはある意味で原初的な文学体験である1984は村上春樹の新作にどんな影響を及ぼしているのか…



そんなわけで、5月29日を楽しみにしているのです。



そして、amazonをチェックしてみたところ、この話題作を予約した人の2%が、Perfumeのニューアルバムを予約しているとのこと。さすが、近未来テクノポップユニットですね。いやあ、すごい割合だよ。清志郎が「気の合う友だちって沢山いるのさ」って歌っていたけれど、いるんだね、、沢山。



ノルウェイの森でいったら、直子 かしゆか、緑 のっち、ハツミさん あ〜ちゃん、っていう組み合わせの妄想は誰か共感してくれるだろうか。わかってる、ちょっと違うけどね。
でも、ノルウェイの森でも、SF的な世界にも妄想で存在させることが可能なPerfumeは、ハルキ的なメディアといえてしまうんじゃあなかろうか。って、結局Perfumeの話に…




Perfumeにはコンピューターシティやエレクトロワールドなどの近未来SFものがあるけれども、1984とかハードボイルドワンダーランドっぽさを一番感じるのはこの「edge」という曲です。というかライブパフォーマンスの中でしっかりと「監視」を表現していると捉えられるところがある。やっぱ、ライブ見なきゃ!

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

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謎とき村上春樹 (光文社新書)

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