Perfumeアップデート祭りin東京ドーム

アトマイザーの頭の部分を押すと香水はふわっと広がり香りをもたらす。
Perfumeが大きく大きく広がる日。ボタンみたいな形の東京ドームから。
Perfumeのことを思う人々がおそらく最も大きな規模で同じ瞬間を感じる日。

はいはい、能書きはもういいかなw

11月3日、東京ドーム、行って来た。

あまり記憶がない。が、ちょっとだけ。

あ〜ちゃんかしゆか、のっちが三方向から中央のステージへ。
真っ白な衣装で11から始まるカウントダウンに合わせながらすり足気味に歩き、背後に真っ白な帯が長く長く伸びていく。

僕のいたアリーナA(にんじん)の方向からはあ〜ちゃんの横顔が見えた。
のちにGISHIKIという名が判明するこの出来事は、

これから始まる「Perfumeのライブ」を「想像もつかない何か」に変換する儀式であり、

今までずっと一緒に舞台に登場してきたPerfumeを、西脇綾香樫野有香大本彩乃という3人の人間から始める儀式であり(これが後に「Perfumeの掟」に繋がって行く)

武道館やトライアングルのツアーで電子的な方法で行われて来たカウントダウンを「距離とベクトル」という極めてアナログな状態に可視化することでイメージ上、オーディエンスのテンションを中心に向けて収縮させ、音楽が鳴った瞬間に爆発させる儀式でも会ったのではないかと思う。

僕はあの瞬間に日本古来の「嫁入り」のような印象を受けた。
かといって決してジャパンクールの文脈における「和モノ」テイストは一切なく、どんな文化にもない神秘的な空間。そしてそれはPerfumeの文化ということでもなく、この後、この出来事は葬り去られる運命にある。

センターにステージを置いてほぼ360度、高い位置から俯瞰できる会場でしかできない壮観な演出。そしてそれはオーディエンスの煽りという意味でも圧倒的に理にかなっている。

三人はカウントダウンの終了と共にセンターの真っ白なテントの中へ。0みたいな形の布の切れ目の跡がうすっらと見える入り口。

白いテントはなんとなく繭を彷彿とさせる。村上春樹の小説、「1Q84」に出てくる「空気さなぎ」を思い浮かべた。その中に入った三人はどうなるのか。ライブ前の「まったく想像もつかない何か」そう、三人はオーディエンスのイメージを神秘的でふわっとした言葉で表せない何かに塗り替えた。

これまでのそのライブにイメージをつけて来た関さんのオープニング演出とは全く異なるオープニング。僕らの頭の中は0になった。

そう、このライブは過去を総括する集大成的なライブではなく、私たちの網膜に今のPerfumeを焼き付けるためのライブだったのだ。いままで行って来たPerfumeライブの流れは変えることなく、しかし、Perfumeの常識は組み替える。そんな方法で、3人はあらゆる方向に更新するPerfumeを観客にぶつけた。

1曲目はシークレットシークレットから始まった。
歌詞に関する考察は色々なところでなされているので割愛するが、武道館でedgeと並ぶ中盤のコンセプチュアルな舞台として大量のマネキンとともにメタ的な視点で演じられたこの曲が、ライブの象徴ともなるオープニングの生身の3人だったことでまたこの曲の思い出が1つ更新された。

これが、Perfumeアップデート祭りin東京ドームの始まりであった。(続く…のか?)

そうそうこのあと、今回の「Perfumeの掟」についても考えたいのだけれど、お馴染み道夏さんがとても素晴らしい考察をされている。今回の公演を考える際に、かなり参考になります。
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