ももいろクローバーのフリーライブで思ったこと。

「いま会えるアイドル」ももいろクローバーの代々木公園フリーライブに行った。

最近、アイドル戦国時代ウォッチャーとして最近着々と活動範囲を広げているなって思うw (ほんとは先日のSKEの横浜赤レンガ倉庫について書きたいんだけれど)
ちなみに、僕はももクロに全然詳しくないので、ファンの目線ではなくて客観的な意見になると思うのであしからず。

 少なくとも僕が今までustなどで見て知っている曲は全て、初期のものらしい楽曲も盛り込んでの約二時間。フリーライブとしては異例のガチセットである。ももクロを広げるために運営がやってきた投資の集大成といえるだろうか。現にそこまで興味のない僕でさえ、全くお金を使わずにももクロの多くの曲を覚えている。ツイッターのフォロワーの方々も(パフュクラスタをはじめ)ばたばたももクロになびいているし、ライブ会場の雰囲気を伝えることからネットにおける話題性を膨らまし、ファンの予備軍の足を現場に向かせるということに成功している。

僕は初めて現場でライブを見たのだが、「いま会える」というキャッチフレーズが某アイドル帝国を意識しているように、そのステージもとてもよく研究されているなあと感じた。

まずは冒頭の寸劇で「ももクロの物語」を提示したこと。

「物語」はアイドルに信頼と輝きを与える。(ジュエリーの宣伝文句みたい笑)

2年前の代々木公園での路上ライブから今日のライブへのステージへという予定調和ではありえないシナリオライティングはすばらしく、ももクロを特別な存在として演出している。(僕らはときに、運命とか必然とか奇跡めいたものが好きなんじゃないか)

個人的にはメンバーの変遷の話もしているのが印象深かった。僕は、結成当初のメンバーだった高井つき奈のことを思った。(彼女はももクロからSKEに行って、またスターダストへ戻って、現在は受験に備えているそうだ。たまたま昨日、SKEの「ウィンブルドンへ連れてって」のライブ映像を見ていたら、同ユニットに矢神久美と一緒に、しかも真ん中で高井つき奈が歌っていて、そういえばかなりエース級だったんだなと実感。)ももクロのSKEに対する仕掛けもこの辺を発端にしているのかなあ、なんてプロレス的に考えながら、そんな物語も持っているももクロの歴史はなかなかのもの。

某アイドル帝国、つまりはAKBを見ていると、グループの初期メンバーと途中加入のメンバーの個人の歴史の差を理解し、貢献度をリスペクトしながら、それにこだわりすぎないで、うまくバランスを取ることが大事であることを感じる。ももクロが今回メンバーそれぞれの歴史や貢献度の違いをぶっちゃけたのはファンにとってもありがたいことかもしれない。

パフォーマンスについても、ももクロ独自の爆発的な振り付けが印象的な楽曲の間に、moveや玉置成美のカバー楽曲でダンススキルの高さがわかる曲を繰り出すことで、「ダンスの美しさ」に注目して楽しんでいるようなお客さんもきちんとフォローしているなあと思った。(個人的には基本的なダンスをどこまで激しく、かつ美しく踊れるのかっていうのも気になるので、このカバー曲群のチョイスは盛り上がりや懐かしさを含めて素晴らしいと思う。)

寸劇で物語を提示した前半、怒涛の楽曲披露とメンバーそれぞれの「今」の思いをことばで伝えた後半、総じてグダグダもオッケーという感じを出しながら、実は綿密に計算されたライブだったんじゃないかなあと感じた。

Perfumeばりの深く長いお辞儀、AKBのライブのオープニングのovertureのような客を盛り上げる音をアンコール前に持ってくるという面白み、SKEのようなカオスを6人で作り上げるスキル、様々なアイドルのグッとくるポイントがももクロ流になっている。そしてももクロの凄みは確固たるものであるなあと思った。


とはいえ、僕はまだ、ももクロになびく気配はない。
ライブを見ながら思ったのだが、アルバムで聴かないとこの楽曲群やパフォーマンスは理解できなさそうだ。

僕はアルバム単位で曲を聴く古いタイプの人間なので、やはりアルバムがないと何も「始まった」気がしないのである。(シングルを集めてプレイリストを作るのは違うと考えている。アーティスト側がメッセージを込めてアルバムを送ってこなければ、楽曲単位でしかハマれない。)Perfumeもアルバムを聴きまくったことから入って行ったし、シングル重視だと思われがちなAKBやSKEも、実は15曲程度の各公演のアルバムが十数枚あって、むしろファンにとってはそちらがガチであることを忘れてはならない。

ということで、ももクロちゃんにはベストでもオリジナルでもよいので、一枚名刺代わりのアルバムを出してくれることを期待します。

(ちなみにピンキージョーンズの作曲者のNARASAKI氏はかつてPerfumeが主題歌を担当したドラマ「スミレ16歳」の音楽を作ってたんだよね。その辺で繋がったのかな?微妙な繋がりだけれども。)

ピンキージョーンズ <初回限定盤A>(DVD付)

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