Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)のアルバムを聴いた。

Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)のファーストフルアルバム「Hauptharmonie」が、本日発売しました。待ちに待っていたアルバム、聴きました。四六時中聴き続けています。

間違いなく、これはアイドルの作品の中で音楽ジャンル的にこれまでになかったポジションに立った作品であり、(アイドルの作品を手に取るうえでひとつの楽しみであるはずの)運営がシーンをどうセグメントしてどこを攻めて、どうやって勝つかみたいな、戦略的な話は野暮だと思ってしまうくらいに、純粋に、オープニングのSE+15曲、順々に綴られていくメロディー、音楽、言葉が総体となって、感動を呼び起こす大傑作ですよ!!

Hauptharmonie(ハウプトハルモニー) Trailer - YouTube

といってもそれぞれの曲の音楽ジャンル的な内容の話は、詳しくはプロデューサーのあーりー氏のototoyのインタビューにまとめられているので、そっちを見て固有名詞を見ていった方が良いです。

ototoy.jp

 

いやいやインタビュー読むの面倒だよ…という方に説明しますと、漠然としてますが、フジロックのいろんなステージ(グリーン、ホワイト、レッドはもちろん、ジプシーアヴァロン、フィールドオブヘブン、オレンジコートや苗場食堂まで!)で聴ける音楽が集まっている、そう思います。(苗場食堂まで聴けるとは思わなかった…汗)

 

 

Hauptharmonieは去年の11月ごろから、だいたい月に2、3回程度かなあ、少しずつコンサートを見てきました。彼女たちに大きな思い入れを持っているので、その時点で「音楽が…」という枕詞で僕が何をいっても彼女たちを応援したいというバイアスがかかってるけれど、とにかく、今まで少しでもお話したことのある方や、不定期で思いつきで書いているこのブログを読んでくださったことがある方には、ぜひ、試聴でも良いので聴いていただきたい1枚です!!

 

 

アルバム「Hauptharmonie」には様々なジャンルの音楽が収録されている。スカ、V系ロキノンを感じさせるロック、ラヴァーズロック、パワーポップの爽やかなパターン、バルカン、ピアノが全面に出た今風なポップス…基本的にプロデューサーのあーりー氏の意向と発注先の新進気鋭のクリエイターの方々による化学反応によって制作されているみたいですね。

突然ですが、アイドルの文脈において「プロデューサー」や「クリエイター」という言葉が前に出てくると、僕はよく引いてしまうことがあるのです。それは、アイドル自身が制作に関わっていたり音楽マニアでない限り、どうやっても「運営の意図した音楽をアイドルが歌う」という構図になるから。特に音楽のジャンルがピンポイントなケースの場合、どんなに好みの音でも…好みの音だった場合なら尚更、それが凄ければ凄いほど、楽曲を聴いているとアイドルよりも運営の顔がちらついて、音楽としてよくてもアイドルとしては冷めてしまうというジレンマがあります。運営偉いね、よくここまでやりたい事を表現したねっ!って。でもそれだったら、僕は本業の、自分で作って歌って飯を食ってる人の曲を聴きたいな、そんな風に考えがちなんです。ピンポイントなジャンルの曲をやりながら、歌い手であるメンバーの音楽に対する意思と曲が交わらない構造、そこで聴き手が失う得る熱をどうやって保つのか…(僕の個人的な嗜好の話ですみません!笑)

ハルモニーも、もろそんな構造にあるのだと思います…




…しかし、そんな身勝手な懸念はハルモニーのフルアルバムには適用されませんでした。


もちろん、好きだから熱を持ち続けられるってのはあるんだけれども、それだけじゃなくて、できる限り客観的、構造的な理由として、それは様々なジャンルのメロディーに対してメンバー個々人がその声やリズム感の個性を活かして”ソロで”取り組んでいるという要因が大きいのではないかと思います。あーりー氏のインタビューでも語られていたけれど、このアルバム、ユニゾンのパートがほとんどななくて、ひとりひとりのソロパートやハーモニーで綴られていくアルバムになっています。5人のパート(…そう、5人のパート)に割り当てられたひとつひとつの歌に、メンバーの声の特徴を楽しめるし、そのパートをどう歌うかの試行錯誤が想像できます。素晴らしい楽曲を作るあーりー氏とミュージシャンの皆さんのヴィジョンや心意気が素晴らしい、でも、そんな大きな存在をバックにして、このアルバムの主役は5人のメンバーの歌だと思うんです。抜群に歌が上手い、でも、奇跡的な味がある声、でもない。音程とか、リズムとか、技術的にはまだまだなんだろう。でも、ヘタウマの方向に舵を取ったり、綺麗に聴かせようとしないで、ただただ、ボーカルブースで自分なりのスタイルで真直ぐに歌おうとしているのを想像できる。透き通った歌やキラキラした心地よさも素晴らしいアイドルの音楽だけど、こんな剥き出しの歌もアイドルの音楽なんだよ。そしてここに、前述したフジロックのいろんなステージで聴けそうな音楽、いままでアイドルが行かなかったジャンルの音楽が聴けること以上の、根源的な感動があるんです。

(詳しいことはわからないけど、花ちゃんと珠乃ちゃんはボーカリストとして既にいい線行ってるんじゃないかと感じてます。ぴっちゃん、アイハラちゃん、瀬戸さんもそれぞれの声のスタイルがどうなっていくか、今後楽しみです。) 


うーん伝わるかなぁ、いや伝わんなくても、そもそも的外れでもいいから、音楽が好きな誰かの感想を聴きたいです。



 最後に、あーりー氏からハルモニーのアルバム発売に際してのドロシーについての言及があったので、少し。

僕はこの4年間Dorothy Little Happyをずっと追ってきました。詳しくは語りませんが、彼女たちは大人たちが作った音楽を「ドロシーの音楽」として唯一無二のものとしてジャンル化したと思っています。言葉ではなく空気感、誇り、姿勢、非言語的な要素をもって。それは音楽をそれぞれのジャンルを語ることを忘れさせます。明らかな引用が多くあるのに、音楽的な参照をされることが比較的少ないのはそのためではないかと考えています。この4年間、世界の様々な音楽と切り離して、かなり神経質にドロシーに集中して聴きながら、魂を揺さぶられてきました。

 

 

ハウプトハルモニーの場合は、様々な世界の音楽ジャンルを入口にし、引用して、そのジャンルならではの文化を残したまま、メンバーそれぞれの歌で、「Hauptharmonieの音楽」と呼べるような場所へと近づいているんじゃないかなぁ、なんて思います。自分の好きな人たちと世界の音楽が地続きになったら、とても楽しいことになるのではないかと思っています。だからハルモニーに売れてほしいし、長く続いてほしいと思うんです。

や、特典会にあまり行かない自分が言うのもなんですが…

 

ぶっちゃけ、それぞれの曲のここがいい!ここの部分の流れがいい!、「ボウ崇高!」とか「Calmmaze最高!」「Ictas of the Sun最高!」とか、「オブスキュアから愛を数えて的な別れ方リアルじゃね!?」とか、「ニコラウス幸せすぎて涙止まらない!」とか、「ディスカバリー・クタイシ~Caterwaulの流れと親愛なるエミール・クストリッツァについて」とか、「HER HERB`S HERVESTとミルフィーユを西野カナ好きの女の子に聴かせてみたい!」とか、それぞれの曲について細かく想いを巡らせていったら話題がつきないアルバムです。本来はそんな楽しみ方をしているのですが、それはまたの機会に笑

 

うまく伝わっているかわかりませんが、とにかく、個人的に好きな人やものにいろんな動きが起きている今年、この時期に、Hauptharmonieのこの1枚に出会えて僕は幸せです!!

 

あ、7月17日(金)渋谷O-Westのワンマンライブも来た方がよいですよ!来るべきだ。19:30~で次の日休みの人は最高の気分になれると思いますよ!

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